【農家の書評vol.1】今と未来の利益を増やす社長のための経営戦略の本
この記事は、『今と未来の利益を増やす社長のための経営戦略の本』を家族経営農家の私が読んだ書評です。
美味しい野菜を作れば経営が安定するは間違い。正しい経営戦略こそ安定した経営を実現することを教えてくれる本です。
農家向けに書かれた経営戦略の本ではありませんが、参考になったポイントを紹介します。
こんな方にオススメ!!
- 将来が不安な農家さん
- 今、赤字経営の農家さん
- これから就農しようとしてる方
- 法人経営の農家さん
もちろん農家でない経営者の方にもオススメです。
『今と未来の利益を増やす社長のための経営戦略の本』の概要
この本は、中小企業の社長のための経営戦略の実務書です。
経営戦略を学ぶための本ではなく、経営者が会社の利益を増やし存続を実現するための考え方や方法を書いた本です。
特に下記について詳しく書かれています。
- 今のあなたの会社の利益を増やす戦略
- 未来のあなたの会社が存続し利益を増やす戦略
赤字企業の9割を黒字にした実績を持つ相原浩一さんが、企業の存続を実現してきた活用方法について解説しています。
利益とはどこから生まれるのか?
売上ー原価ー経費=利益と損益計算書に書かれているが、その売上はどこから生まれているのか。
それは、顧客と商品
利益は売上の中にあり、売上から原価や経費を削り取った残りが利益、そしてその売上は顧客と商品から生まれる。
販売活動や営業活動は利益を生むために一役買っているが利益の源泉ではないとういうこと。
ここで例え話として、地方に行くとよくある無人の野菜直売所が例にあげられています。
道端に野菜を置いているだけで販売活動をしていない。
需要があれば供給するだけで商品が売れていく典型的と言われています。
いや、それなりに近所付き合いとか諸々の販売活動はしてると思いますが 汗
自社の利益はどこから生まれているのかを理解する重要性が書かれています。
これから自動販売機で無人の野菜直売を始めようとしている私としては背中を押してくれるような考え方でした。
利益を増やす売上を見つける方法
今すでに大きな利益を生んでいる顧客や商品を見つけ、
そして、今生んでいる利益は小さくても、今後その利益を大きく増やす可能性のある顧客や商品を見出すことができれば、同じ利益を増やす行動をするにしても、効果的に利益を増やすことができるのです。
つまり、下記5つを実践するだけで効果的に利益を増やすことができる。
①我が社の顧客は、どれだけの売上と利益を生んでいるのか
②我が社の商品はどれだけの売上と利益を生んでいるのか
③我が社で大きな利益を生んでいるのは、どの顧客で、どの商品なのか
④今後、利益を増やせる可能性があるのは、どの顧客と、どの商品なのか
⑤これからの顧客と商品の売上を伸ばす方法を検討する
言ってることはわかりやすいんですが、個人事業主の農家にとってはかなり難しいこと。そもそも、作物別や卸先別に売上の管理をしてないなんてことも 汗
作物別や卸先別に売上を細かく管理することの重要性がわかりました。ここを細かく管理できる農家になれれば利益を増やす近道なのかと思います。
単価・数量マトリクスも図解されてるので売上を細かく管理されてる農家さんは単価・数量マトリクスに当てはめれば効率的に利益を増やすことができます。
利益目標を達成し続けても存続は保証されない
携帯電話の進化のように時代はものすごいスピードで変化してるため、今求められているものを提供して利益を出しているだけでは将来は保証されない。
利益は重要だが利益よりも重要なのは会社の存続であり成長であるため利益の役割を理解する必要がある。
そして、経営環境の変化を踏まえた「正しい経営戦略」こそ未来の存続である。
と、筆者の相原浩一さんは1950年代の映画会社や自身のクライアントを例にして解説しています。
経営戦略ど素人の私でも映画会社の失敗例は特にわかりやすかった。
また、「正しい経営戦略」の見つけ方については顧客が求めているものを考えて「我が社は何業か」と定義すること。
定義を間違えると映画会社の失敗例のようになってしまうということがわかります。
正しい定義の仕方を自身のクライアントとスターバックスコーヒーやアメリカンエクスプレスなどの世界的な大企業を例に出して解説しています。
うちは何業か?美味しい野菜を作って消費者に届ける仕事と定義してはいけないということがハッキリわかった。
美味しい野菜を作って消費者に届ける仕事というのは手段であって定義ではない。よーく考える必要があるけど、今、定義するとしたら家庭の食卓をハッピーにする仕事かな。
【まとめ】経営戦略ど素人でも読みやすく理解しやすい本
農家としては「いかに美味しい野菜を作るか」「いかに効率良く野菜を作るか」といったことについて情報収集することが多いと思います。
経営戦略について勉強する農家は少数ではないでしょうか。
私は農家の経歴よりもアパレル店長の経歴の方がまだ長いので「美味しい野菜の作り方」よりも「野菜の売り方」の方が興味があります。
つまり、農家の経営の方が今は興味があるのでこの本に辿り着きました。
近年の農業の変化についてもある程度は情報収集しています。
本書で書かれているように近年の農業はすごく早いスピードで変化していると感じています。
近年における農業の変化
- 農家の法人化
- 有機農業
- 自然農などの無農薬栽培
- 6次化
- ネット販売の普及
あげればキリがないくらい変化していると思うので、江戸時代から続く我が農家も危機感を持っています。
時代にマッチする農業に変化させねばと・・・
しかし、変化させる方向を間違えるといっきに墜落してしまうのではないかと容易に想像できます。
そんな時に本書を読んでみて正しい経営戦略の考え方を学ぶことができました。
ぶっちゃけ農家だけやってきた人には難しい専門用語も出てきますが、専門用語には全て括弧書きがついてるので理解しやすいです。
そして、大事なところは太線と過剰書きで書かれているが本当にわかりやすいです。
個人事業主の農家の私でも理解できたので、法人の農家さんはもっと理解しやすいかと思います。
家族経営でも個人事業主でも農業に取り組む経営者である以上、事業(農業)の安定と、存続できる事業(農業)にするために、経営戦略について学んでおくべきだと私は思います。
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